私は朝ドラが見れない

だいたい長続きしない。

汝、星のごとく(感想)

汝、星のごとく(凪良ゆう)

 

 

 

 

私の考えとネタバレをぶち込んでるんで注意してくれよな。

今回は個人的に苦手な本だったからあんまり良いこと書いてないぜ!!!!

 

 

 

 恋愛小説に限らない話だけど、小説の世界に酔えるかどうかってすごく大切だなぁって読んでて思いました。

 個人的に読書に限らず娯楽を摂取してる時って、面白い・面白くない、好き・嫌い、考えさせられる・考えなくていい、の三点あたりを区別して読んでることが多いんですが、この本はそこそこ面白くて、苦手だなって位置(あくまでも個人的にね)。

 

 ただ、自分の好きなものっていう定義がそもそも超主観だから、私がこの話を苦手だな~と思っている分、すっごく好きな人も多そうだなって印象。

 

 互いを思いやり、傷つけられても、その愛が揺らぐことがない……といったラブストーリーを好む人は好きそう。切ない思いをする恋愛とか、そういうのが好きな人はめちゃくちゃツボりそう。私には合わないだけでそこそこ面白いとは思ったんだから、これにツボが入った人にはたまらんのでしょう。

 愛ってそうあって欲しいし、そう信じたい。でも、案外ちょっとした切っ掛けで揺らいだり何だりしてすれ違ったり、まぁ色々あるじゃない。

 愛し合うふたりの間に何らかの障害があったりすることも恋愛ものにおける王道な要素だし、無いと無いでつまらなくなってしまうのもある。

 やりすぎないギリギリっぽさで書かれているような気がするけれども、個人的には序盤から母親の位置の雑さ、終盤の他の登場人物の雑さが気になって苦手でごわす。

 特に北原先生の位置は個人的に無理だった。ストーリー展開(というか主人公暁海にとって)で途中からめちゃくちゃ都合のいいこと言い出したなこいつって思いながら読んでしまった(北原先生のキャラが悪いわけではない)。

 

 昔からよくあるじゃない。

 主人公や登場人物が親や大人や友人や環境に見放された可哀想な子どもみたいなの。

 少女漫画でいうとフルーツバスケット(古い)とか。少し昔の韓流ドラマとか。

 きっとああいう子どもって現実にはいるんだと思うし、それはとても悲しいことではあるんだけれども、ファンタジーだからこそ丁寧に扱わないと「感情移入してしまうほどのリアリティー」よりも「こういう設定」っぽさを感じちゃう。

 こういう設定と思い始めたら、全てが全て、この物語における世界はこの二人ためにあって、登場人物達も彼らの物語を盛り上げる道具みたいな感覚になっちゃって、どうにもダメ。

 あくまでも私が思っていることだから、悪意を持ってそういう風に描かれているわけではない。ただ、そういう風に読み取ってしまって、そう考えてしまってからはどうにもそのフィルターがかかるんだな。

 

 

 一番キツかったのはこの物語が櫂から根こそぎ全てを奪っていったこと。

(確かに櫂もちょっとね…みたいな所はたくさんあるんだけれども)(女からしたらそれはダメでしょうみたいな所いっぱいあるし)

 

 物語はW主人公風だけど、どちらかと言えば真主人公感の漂う暁海にとって都合のいい、暁海の愛こそが櫂に残った唯一のもの、みたいな雰囲気がすっっっっっっごいキツかった。

 彼は確かに嫌なことを忘れるために漫画(の原作)を書いて部分もあったかもしれない、それは一種の逃避行だったかもしれないし、それでも懸命に打ち込んでいた筈の漫画をこの物語は容赦なく取り上げて、それまでの櫂のやらかしに鞭を打つように彼を追いつめていく作風がキツかったねぇ~~、可哀想じゃなくてキツい。

 落ちぶれていく姿に悲哀はまぁまぁ感じるけれど、暁海は欲しがったものを手に入れて、櫂は自分の半身のような大切だったもの(尚人と一緒に描く漫画という情熱とかそういうの)を奪われて残ったのが暁海への愛……ってなんかこの物語に押し付けられているようできちぃ。

 暁海との愛を強調するためか知らんけど母親をどこまでも悪く書くのもちょっとなぁって思った。全く登場しないならわかるけど。

 

 大人パートに入ってもいつまでもいつまでも親(大人)に苦しめられる子ども感が漂って、そういう悲哀に酔いしれたらいいんだけど、なんか苦手だった。

 若くしてそういう苦労をしている方は現実にいるんだろうけれども、なんとなく愛を描くために都合よく書かれているような気がしちゃってダメだ、ダメだったわ。

 

 なんだかすっごくもやもやしちゃって友人に話を聞いて貰う。カウンセリングか。

 かくかくしかじか、説明してどうしたら納得できたんだろうって話をして。

 尚人を殺さずに、櫂が死ぬことでもう一度尚人が立ち上がったら彼の漫画への情熱は生きているみたいで良かったんじゃないかって話になって

SOREDA~~~~!!!!ってなったよね。

 暁海への愛を小説で綴るって、漫画を描いていた時の必死に考えて一生懸命書く力すらも暁海へ捧げないといけないのか…って気持ちが、(勿論、小説内では櫂は自発的に取り組むんだけどさ)それなら辛うじて報われる感があっていいよね。

 

 

なんか、作者は母親という生き物が嫌いなのかな。

どう考えても暁海の父親が一番悪いし、不倫相手の刺繍の先生だって悪いのにあの書かれ方だと母親が重くて嫌な湿っぽさ全開なんだよね。

暁海の敵は父親でもなく刺繍の先生でもなく、母親みたいな所が序盤から一貫してるのがちょっと嫌だな。汚れ役を全部母親が持っていてしまった。櫂の母親もね。

 この話のなかで一番作風の犠牲になったのは暁海の母な気がする。こういう母親は世の中にいるのかもしれないけれど、兎に角、暁海の足枷役としての装置として使われているみたいで個人的に気の毒に感じた(終盤の尚人もなかなかだけど)。

 

 中盤までは面白いのに中盤以降の物語を盛り上げるために登場人物のほとんどが舞台装置っぽくなったのがこの話の苦手な所。

 

 

 ダメだ、嫌だ、苦手だ、ばっかりなのでよかったところも。

 二人がすれ違っていく過程に関してはめちゃくちゃ良かったよね。

 都会の女の子を知って、暁海の服装とかを下にみてしまったり、共通会話が上手く成立しなくなったりしてさ。

 暁海も櫂が浮気していたことを知っているように匂わせたけれどそれすらも櫂に気付いてもらえない下りはすっごくよかったです。

 もう二人がすれ違って少しずつ憤りが積もっていく過程に関しては恋愛小説っておもしれ~って思いながら読んでた。ここらへんは本当に面白かったわ。

その後の展開が苦手なだk…おっと。